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大切なことは障害児が教えてくれた 日本人が忘れがちなコミュニケーションの本質

大切なことは障害児が教えてくれた  日本人が忘れがちなコミュニケーションの本質

こんにちは。非言語コミュニケーション専門家の内木美樹です。

突然ですが、みなさんは、障害のある人との日常的な接点はありますか?今月から合理的配慮提供の義務化が始まりましたので、接点は今後増えるかもしれません。日本はまだ分離社会ですので、家族や身内に障害者がいる方ではない限り、触れ合う機会は皆無ではないでしょうか。もしくは、みなさんの中には、そもそも障害者と触れ合いたいと思っていない人もいるかもしれません。

しかし、障害者と接する事で、コミュニケーションでとても大切な事を学ぶことができるんですよ。今回は、私の実体験も含めたお話しです。

障害のある息子は会話ができない

私の長男(10歳)には重い障害があります。自閉症と重度の知的障害です。具体的には、言葉による会話がとても難しいです。一般的に10歳と言えば、大人とほぼ対等に会話ができます。

「今日、学校で誰と遊んだの?」
「給食は何だった?」

と聞けば、答えを返せるコミュニケーションの能力を持っています。

しかし、私の息子の会話レベルは、2~3歳程度と言われています。先ほどの質問をしても理解するのは到底難しいですし、何なら「お名前何ですか?」「何歳ですか?」という質問ですらも返すことができません。そのため、親である私は、常に息子のコミュニケーションに悩んでいます。

しかし、そんなある時、ふと気が付きました。あれ?障害のない人も社内コミュニケーションで悩んでいるな、と。

「いつもお世話になっております」と挨拶ができる。
「この資料、来週までに作成よろしく」とお願いもできる。
自分の意見だって言える。

「言葉による会話が当たり前にできるのに、なぜコミュニケーションに悩むのだろう?」そうして考えた結果、原因が分かりました。それは、私たち日本人は、非言語コミュニケーションが圧倒的に足りていないのです。

非言語コミュニケーションが圧倒的に足りていない日本人

コミュニケーションには2種類あります。『言語コミュニケーション』と、『非言語コミュニケーション』です。

言語コミュニケーションとは、字の如く言語や言葉を指します。つまり、「何を言うか」です。

一方で、非言語コミュニケーションは「どう話すか」です。

理解してもらいやすいように話す。
話しやすいように聞く。

これが非言語コミュニケーションです。

そもそも論ですが、なぜ社内でコミュニケーションが必要かと言えば、信頼関係を築いたり、意見やアイデアが出しやすい風通しのいいチームをつくったり、情報や指示を正しく共有したり、問題があれば迅速に誠実に対応する為ですよね?

その為には、言葉による説明だけではなく、相手の理解や共感、納得が必要です。そしてそれらを得るには、非言語コミュニケーションが不可欠なのです。しかし、私たち日本人は、日本語を話せば会話が成立するという状況に慣れすぎてしまっています。

障害のある人や海外の方のように、日本語が通じない人との接点があれば自ずと気づけるのですが、周りにいる多くの人は日本語ネイティブです。島国であるがゆえに、非言語コミュニケーションの重要性が広まっておらず、結果、信頼関係が築きにくかったり、社内に話しづらい空気が漂ってしまっているのです。

障害児が教えてくれるコミュニケーションの本質とは

ここでまた息子の話に戻りますが、言葉による会話が難しい障害児は、この非言語コミュニケーションの大切さを教えてくれます。なぜなら、言語でコミュニケーションがとれないから、非言語コミュニケーションに頼らざるをえないからです。

・相手の目を見て穏やかな表情で話す
・声の強弱や抑揚をつける
・身振り手振りを交える
・話を聴くときは適度な頷きや相槌を入れる

おや、ちょっと待って下さい。これらができる人とであれば、信頼関係を構築でき、風通しのいいチームが作れ、情報や指示を正しく共有し、何かあったら迅速に誠実に対応できると思いませんか。障害児は、このようにコミュニケーションの本質を教えてくれるのです。

『非言語コミュニケーション』=『相手への思いやり』です。もうすでにお気づきかと思いますが、非言語コミュニケーションとはとどのつまり、理解してもらいやすいように話し、心を傾けて聴くという「相手への思いやり」なのです。

チームの全員が非言語コミュニケーションが上手になれば、それは立派なチームビルディングです。リーダーが非言語コミュニケーションを学んで伝える力や傾聴力を向上すれば、間違いなく部下が育ちます。しかも、このような非言語コミュニケーションは万国共通です。

私の話で恐縮ですが、私は20代の頃、アメリカのカジノホテルで働いていました。同僚はアメリカ人、メキシコ人、韓国人、ポーランド人、ブラジル人と国際的でしたし、観光地だったので、お客様は世界中からお見えになっていました。

当然、接客の際は英語が必要です。しかし、お客様に楽しんでいただくには、笑顔や身振り手振りといった非言語コミュニケーションの方が重要です。中には英語が通じない方もいましたが、非言語コミュニケーションが使えれば、世界中の人と会話ができました。ですので、グローバルコミュニケーションにも、このような思いやりは絶対に必要なのです。

まとめ

という訳で、今日はこの場をお借りして、非言語コミュニケーションの重要性とその効果をお伝えしました。とは言え、非言語コミュニケーションはやろうと思ったらすぐに習得できるものではなくて、日々の練習が必要です。

よかったらこれを機に、障害のある人との接点を増やしてみてください。そして、彼ら・彼女らから教えてもらうという気持ちで障害者と積極的にコミュニケーションを取っていただけると、今まで見えなかったものが見えてくるようになりますよ。

コミュニケーション研修の華ひらくでは、障害児との遊びを通じて『新入社員研修』『チームビルディング研修』『リーダー育成研修』『ハラスメント研修』『ダイバーシティ研修』の、各種コミュニケーション研修を提供しております。人数や時間はご要望に応じて対応観桜ですので、お気軽にご相談ください。

執筆者紹介内木美樹Miki Uchiki

株式会社華ひらく/非言語コミュニケーション専門家

Truckee Meadows Community College 卒。卒業後はアメリカ・ネバダ州のカジノホテル内の飲食店に就職。非言語コミュニケーションを巧みに使用した接客により、”No. 1 server” とマネージャーから称される。帰国後、2010年に株式会社華ひらくを設立。飲食店インバウンド専門家として、「インバウンド接客 ~英語が話せなくても海外のお客様に接客する方法~」などの非言語コミュニケーションに重きを置いたセミナーを全国で開催。2021年からカラフルモデル(障害のあるキッズモデル)事業を開始。撮影中、障害児との触れ合いの中で大人のコミュニケーション力が飛躍的に向上した事を何度も目の当たりにし、2024年に「障害児から学ぶ非言語コミュニケーション」を企業研修としてリリース。

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