ダイバーシティを尊重し、コミュニケーション力を飛躍的に向上させます

女子高校生が「障害児から学ぶ『体験型』ダイバーシティ研修」をご受講されました

女子高校生が「障害児から学ぶ『体験型』ダイバーシティ研修」をご受講されました

こんにちは、華ひらくの内木美樹です。

2025年2月17日に、都の高校に通う3年生の女子生徒(Aさん、Bさん、Cさん)が、「障害児から学ぶ『体験型』ダイバーシティ研修」をご受講くださいました。

まずは、高校生が障害児研修を受けることになったのかの経緯です。3人が通う高校では教育プログラムの一環として、テーマを決めて学ぶ分野を設定しています。そこで3人は、高校1年生の時に障害全般について学ぶと決めたようです。

これまでは主に身体に障害のある方と触れ合い、学んでこられたそうですが、弊社と出会い、まだ未知である知的、精神障害についても学ぼうと考え、この度のご縁に繋がりました。

当日は11時に千葉県の某ショッピングセンターでAさん、Bさん、Cさん、サポート役のDさん、障害児のE君(5歳)、E君の保護者と内木で合流をしました。

いきなり研修では緊張してしまうので、まずはお互いを知るためのウォーミングアップとして、館内を30分ほど散策しました。最初は双方緊張していた様子でしたが、短い間でも一緒に歩いたことで高校生とE君の距離が少し縮まったようでした。

研修の内容① 障害児と遊ぶ

それから館内にある子ども向けの施設に入り、E君と3名で一時間ほど遊んでもらいました。しかし、ここで2つのグループに分かれてもらいました。

まず、AさんはE君と遊ぶ係りです。一切休むことなく施設内を元気いっぱい走り回るE君に、現役女子高校生たちでも、ついて行くのに息も切れ切れになっていました。

そして、その間に残りのBさんとCさんは、E君の保護者にインタビューをしてもらったのです。なぜ保護者へのインタビューをしてもらうのか。それは、障害児を育てる親の生の声を知ってもらうためです。

日本ではまだ、障害はタブーとされています。特に子どもに障害がある場合、「その話は触れてはいけない」という暗黙の了解があります。

しかし、私たちは障害を理解してもらうためにこのような活動をしています。ですので、障害のある我がの子のありのままの話に触れてもらい、まずは知ってもらいたいのです。

まだ自分の子どもすら育てたことのない女子高生にとって、初対面の人に「お子さんの障害は…?」と聞くのは勇気のいることです。それでも、あえてその壁を突破する勇気をもっていただく事で、彼女たちのコミュニケーション力の向上にも繋がると信じています。

このようにグループ分けをしましたが、20分経つと今度はBさんがE君と遊び、AさんとCさんがインタビューに。さらに20分後にはCさんとE君でペアをつくり、AさんとBさんに保護者の話を聴いてもらいました。

研修の内容② 保護者へのインタビュー

インタビューではこのような質問が出ました。

●障害がわかったのはいつか

●障害がわかった時の気持ちは

●子どもはちゃんと眠れているか

●子どもは食べ物の好き嫌いはあるか

●子ども連れで外食できるか

●保護者のストレスの発散方法は

●生まれる前(出生前診断)に障害はわからなかったのか

●普段育児で大変なことは

●逆に可愛いなと思えるところは

●将来どうなってほしいか 等

忌憚ないご質問ですが、研修なのでお互いに遠慮は無用です。

Dさんがずっと保護者へのインタビュー組について様々なサポートをしてくださったお陰で、普段では間違いなく聞く事のできない、非常に生々しくて濃いお話をお届けできたと思います。

1時間後、激しく動き回るE君と遊んで全員汗だくになり、ちょうどお昼の時間でもあったので、E君が大好きなファーストフード店でみんなで食事をし、お開きとなりました。

 

研修を終えて

研修後、Aさん、Bさん、Cさんにアンケートを送り、4つの質問に答えてもらいました。ここではあえて、編集せずに彼女たちの文章をそのままでご紹介します。

 

質問1:
「5歳の自閉症と知的障害のある少年と遊ぶ」と聞いて、不安や戸惑いはありましたか?(もしあれば、それはどのようなものですか?)

Aさん
幼児と遊ぶ機会があまりないうえに、自閉症や知的障害がある方と接したことがなかったため、どう接したら良いのかわからないという不安がありました。また、E君に受け入れてもらえなかったらどうしようという不安も少しありました。

Bさん
「どう接して遊ぶのが正解なのかわからない」という戸惑いがありました。ただ、それは「5歳の少年と遊ぶ」ということ自体への戸惑いであり、自閉症や知的障害があるから特別に感じたものではなかったと思います。

Cさん
予想外の事が起きた時に、私が対応できるか不安でした。自閉症と知的障害についてあまり事前知識がなかったのもありましたが、どう距離をつめれば良いのだろうか、何か障害児ならではの行動をされた時に戸惑って何もできなくなるのではないか、など不安でした。

 

質問2:
実際に知的・発達に障害のある子と接してみて、「知的障害」「発達障害」に関する印象は変わりましたか?その理由も教えて下さい。

Aさん
大きく印象が変わったわけではありませんが、想像していたよりコミュニケーションがとれるな、と思いました。E君の障害の程度にもよると思いますが、私が伝え方を工夫すれば、E君の意思を汲み取れるだけではなく、私の意思も彼に伝えることができるのだとわかりました。

Bさん
はい、変わりました。「障害」という言葉には、一般的に「普通の人より劣っている」という偏見があると思います。しかし、実際に関わってみると、こだわりが強い一面があったり、手先がとても器用だったりと、個々の特性が際立っていることを感じました。

Cさん
無邪気でかわいいなぁと思いました。お会いする前からそうだろうなとなんとなく思っていましたが、純粋にその場を楽しんでいる姿は接しているこちらも楽しかったし、時々ありがとうと言ってくれるのもとても嬉しかったです。普通の子よりも伝えてから理解するのに時間はかかっても、伝え方を工夫すればしっかりと伝わるのだと知り、後半は前半よりもうまくコミュニケーションが取れるようになりました。
結果、より障害児に親近感が湧きました。
それは、関わり方を知れて、その上で一緒の時間を過ごす事で、よりその子自身としっかり向き合えたからかなと思います。なので、お母さんや内木さんが時々、「こういう風に伝えると良い」と教えてくれたりしたのはとても良かったです。

 

質問3:
障害児を育てる保護者の生の声を聞いて、どのように感じましたか?

Aさん
障害を持つ当事者はもちろんですが、それを支える保護者の方々の負担がとても大きいのだとわかりました。短い時間の中でも大変だと感じる場面があったので、子育てをされている保護者の方々には、私が想像もできないような苦労があるのだと思いました。だからこそ、障害児の家族や保護者への制度的、金銭的サポートだけでなく、精神的サポートも必要だと感じました。

Bさん
障害を持つ当事者と、その保護者(第三者)が抱く思いは必ずしも一致しないのだと感じました。これまで関わってきた多くの当事者は、「障害者と健常者を分けてほしくない」と考えていました。しかし、保護者の立場からすると、他の子(障害を持たない子)と比べてしまうことが多く、それが精神的に辛くなるため、なるべく見たくないという意見もありました。

Cさん
親ならば、自分の子供というだけで障害の有無に関わらず、無条件に全力の愛を注げるのだと思っていました。今回お話を伺った親御さんがというわけではないのですが、“障害があろうとなかろうと”は、少し綺麗事で、難しいことなのだと痛感しました。障害を持って生まれた子だけでなく、そのご家族を金銭面や精神面で支える支援、サポート体制が社会に必要であると強く感じました。

 

質問4:
今日の「非日常の体験」は、今後何かに役立ちそうですか?

Aさん
私たちはこれまで主に身体障害がある方々と関わることが多かったので、今回、E君やお母さんと交流できたことは大きな学びとなりました。特に今回は、実際にE君の保護者のような立場で関わることができたので、今までで一番当事者意識を持つことができる体験だったと思います。E君のお母さんにお話を聞くことができたのはもちろん、E君の保護者としての体験はとても大きな学びになりました。

Bさん
障害を持つ当事者に目を向けることも大切ですが、彼らを育てる保護者の精神的な負担にも目を向けることで、より良い社会をつくれるのではないかと感じました。私たち3人の活動はこれまで主に当事者に焦点を当ててきましたが、今後は保護者の視点も大切にしながら活動していけたらと思います。

Cさん
相手の立場に立つことで人は優しくなれると思うのですが、今回の体験では、その相手の立場に立つことを身をもって体感することができました。
「自分の子供が迷惑をかけて本当に申し訳ない。あたたかく見守ってほしいとも言わないから、とにかくそっとしておいてもらえれば。」というお母さんの言葉や、Eくんと走り回って遊ぶ中で、自分も他の親御さんに(迷惑をかけて)すみません!と謝ったりして、お母さんの気持ちを少し理解できました。自分の見える世界が広がったので、またひとつ人に優しくなれる気がします。また、こういう体験をもっと多くの人にしてほしいなぁと思いました。

 

ご受講くださったお3方、そしてサポート役のDさん、本当にありがとうございました。

執筆者紹介内木美樹Miki Uchiki

株式会社華ひらく/非言語コミュニケーション専門家

Truckee Meadows Community College 卒。卒業後はアメリカ・ネバダ州のカジノホテル内の飲食店に就職。非言語コミュニケーションを巧みに使用した接客により、”No. 1 server” とマネージャーから称される。帰国後、2010年に株式会社華ひらくを設立。飲食店インバウンド専門家として、「インバウンド接客 ~英語が話せなくても海外のお客様に接客する方法~」などの非言語コミュニケーションに重きを置いたセミナーを全国で開催。2021年からカラフルモデル(障害のあるキッズモデル)事業を開始。撮影中、障害児との触れ合いの中で大人のコミュニケーション力が飛躍的に向上した事を何度も目の当たりにし、2024年に「障害児から学ぶ非言語コミュニケーション」を企業研修としてリリース。

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