ダイバーシティを尊重し、コミュニケーション力を飛躍的に向上させます

Z世代が求める新入社員研修とは

Z世代が求める新入社員研修とは

こんにちは、非言語コミュニケーション専門家の内木美樹です。

入社した社員が最初に受ける研修が新入社員研修です。面接を含む就職活動が「玄関」だとすると、新入社員研修は各部署へと繋ぐ「廊下」の役割で、ここで「思っていたのと違う」と引き返って玄関を出て行かれる(つまり早期退職)を防ぐためにも、どのようなカリキュラムを組むかは非常に重要です。

そこで本記事では、新卒採用した新入社員(いわゆるZ世代)に向けた新入社員研修のカリキュラムの作り方について、必要な内容を詳しくご説明します。

新入社員研修とは

新入社員研修は、新しく採用した社員を企業に迎え入れる際に導入される、いわば入社して最初に受ける研修です。特に新卒採用の新入社員の多くは社会人として働いたことがないため、新入社員研修では、幅広い知識やマナーが求められます。一般的には入社後すぐに開始されますが、中には入社前の2月や3月から始める企業もあります。

新入社員研修の目的と期間

新入社員研修の目的は企業によって様々ですが、主に以下の5つを習得することが主軸とされています。

1.社会人としてのマナー
2.同期との絆づくり
3.既存社員とのコミュニケーション
4.企業理解(その会社で働く心構え)
5.業務を円滑に遂行するための知識

とは言え、そもそも何のためにマナーや知識が必要なのか。どうしてコミュニケーションが大事なのかを突き詰めると、「信頼される人になるため」という言葉に尽きるのではないでしょうか。社内からも社外からも信頼される人には、人と情報とお金が集まるのが世の常です。ですのでこの記事では、「新入社員研修は信頼される人になるために開催する」という体で進めていきます。

また、新入社員研修の期間は、一般的には1~3カ月が多いですが、現場で覚えるタイプの企業であれば2週間未満もあり、逆に、弊社(株式会社華ひらく)のお客様の中には、2年間かけてじっくりと新入社員研修を行う企業もあります。

新入社員研修の成果

大量に採用し、一度に大人数に向けて新入社員研修を行うと、研修を実施することが目的となってしまい、その成果が軽視されがちです。しかし、大切なのは「やる事」ではなく「何の為に、何を得てもらいたくて実施するのか」を明確にする必要があります。

もちろん、早く一人前になって即戦力として活躍してほしいと願うのは雇う側としては当然ですが、社会人未経験の人に多くを求めるのは無理があります。そこで、たとえばこのような成果を1つの基準とするのはいかがでしょうか。

1.入社後1年以内の離職率
2.学習習得度(研修後にテストを実施)
3.新入社員の反応(研修後に新入社員にアンケートをとり、新入社員研修の目的が伝わっているかを確認)
4.既存社員の反応(各部署に配属後、既存社員に新入社員に関するアンケートを実施)

新入社員研修に必要なカリキュラム作成方法

新入社員研修のカリキュラムは企業の規模や業種によって異なりますが、一般的には以下ような内容を選ぶ企業が多いです。

1.企業理解
2.社会人としての責任力
3.マナー、姿勢
4.コミュニケーション力
5.コンプライアンス(法令遵守)
6.論理的思考

では、それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。

1.企業理解

字の如く、企業理念やこれまでの歴史、各支店(工場)の情報、自社商品やサービスの知識、各申請書や福利厚生などの社内のルールを学ぶためのものです。また、(厳密にはここで言う企業には該当しませんが、)お客様やお取引先について学ぶことも非常に重要です。たとえ小さな会社であっても、多くの方々によって支えられているのが企業です。その方々への感謝の気持ちを新入社員研修の時点で育む事ができれば、外部の方とも信頼関係を築ける社員を育てることができます。

2.社会人としての責任力

社員とアルバイトの最たる違いは「責任力」です。たとえ新入社員であったとしても、会社の名刺を出して働いている以上、社員の発言や行動はそのまま会社の発言、会社の行動を見なされます。当たり前のことすぎて笑ってしまうような内容かもしれませんが、当たり前のことを当たり前に行うのが大人であり社会人である以上、以下を早い段階で理解・浸透させることは非常に重要です。

・時間を守る(遅れる際は事前に連絡)
・約束を守る(口約束も立派な約束)
・行動する(どんなに立派なことを言っても、行動を伴わない人は信頼されない)
・報連相(これがないと、いざ困った時に誰からも助けてもらえない)

3.マナー、姿勢

仕事上で出会うすべての人は上司や同期、お客様、取引先の方々です。友だちではありません。よって、学生と社会人では、話し方も言葉遣いも変える必要があります。謙譲語と尊敬語のちがいを理解した上で正しい敬語を使えるか、「~させていただきます」を乱用していないか、馬鹿の1つ覚えという言葉があるように、同じ単語、言い回しばかりを使っていないかなど、敬語1つをとっても枚挙にいとまがありません。

そのほかにも、身だしなみや物の受け渡し時には両手を使えているか、電話を受ける際や切る際の間の取り方、そして、猫背になっていないかという姿勢も意識することが、信頼される社会人求められるマナーです。

4.コミュニケーション力

仕事上で発生する悩みやミスの大半は人間関係であり、つまるところコミュニケーションです。気持ちのいいコミュニケーションがとれる人は周りから信頼され、風通しのいいチームを作れ、困ったときには助けてもらいやすいので、その結果成果も出しやすく、巡り巡って自分のやりたい仕事ができる近道でもあります。

コミュニケーションには2種類あります。『言語コミュニケーション』と『非言語コミュニケーション』です。言語コミュニケーションは、言葉や手話のように「説明」をする時に使います。いわゆる、「何を話すか」です。しかし、どんなに言葉巧みに論理的に話せていたとしても、これだけでは意思の疎通が取りづらく、むしろ「あの人は冷たい」「そっけない」といったマイナスな印象や誤解が生じやすいです。

一方で、非言語コミュニケーションは表情、身振り手振り、声の抑揚、声の強弱、アイコンタクト、頷き、相槌といった「信頼関係を築くための手段」です。笑顔で、ジェスチャーを豊富に使い、相手の目を見ながら抑揚や強弱をつけて話す人の言葉はとても聞きやすく理解しやすいです。そして、笑顔で、相手の目を見ながら、適度な頷きや相槌を入れて話を聴ける人の周囲には、多くの応援者と情報が集まります。

一般的なコミュニケーション研修では「言語」の部分に重きを置かれがちですが、「非言語」こそが、信頼関係やいいチームを作る上で大切なのです。

5.コンプライアンス(法令遵守)

家で仕事をやろうと思って持ち帰った個人情報をうっかり車内に置き忘れてしまった。セキュリティの低い自宅のPCで作業をしていたら、情報が漏洩してしまったなど、知らなかったでは済まされない情報の取扱いに関する事例は多々あります。しかし、これらの多くは自分の身に降りかかるまでは対岸の火事で、「自分は大丈夫だ」という過信が生じてしまうものです。ですので、自社や他社で実際に起こったケーススタディーを盛り込みながら、いかに自分事として考えさせることができるかがポイントになります。

また、昨今はさまざまなハラスメントも重視する必要があります。ハラスメントが起こる原因の1つは、視野の狭さです。自分とはちがう世界・環境で生きている人たちの想いに目を向けず、「自分が正しい」「これくらい何てことない」と自分の価値観を押し付けることで、ハラスメントは発生します。

「これはハラスメントに該当する」のような知識もちろん大切ですが、広い世界を見る機会を提供することで、自分がいかに井の中の蛙だったかを実感できることも多々あります。最近は越境研修も人気ですので、ぜひ体験型の研修とあわせてカリキュラムを作成してみてください。

6.論理的思考

論理的思考は、人に何かを伝える時も、自分ひとりで考える時にも非常に有効です。多くの悩みは論理的思考があれば解決(もしくは緩和)できます。遅かれ早かれ、新入社員は「悩み」という壁にぶち当たるでしょうから、その際にこの方法を事前に新入社員研修で伝えておくことで、早期離職を防ぐ一助になるかもしれません。

Z世代の新入社員研修

少し古いデータではありますが、「株式会社No Company」が2022年12月12日に発表した「Z世代の注目企業200社」を見てみますと、パナソニックやメルカリと同列にヘラルボニー(ミッションは「異彩を放て」)、ソフトバンクやグノシーと同列に英治出版(哲学は「誰かの夢を応援すると、自分の夢が前進する」)が並んでいるのがわかります。
https://news.mynavi.jp/article/20221214-2536869/

こちらは、Z世代などの生活者がSNS(Facebook、Twitter)上でどれほどの企業、団体・組織を「いいね」や「リツイート」「シェア」「コメント」などのアクションをされたのか、その総量を計算したものなのですが、それによるとZ世代は働く社員の個人の想いに共感しやすいという傾向が出ています。

あえてもう一度書きます。個人の想いです。

突然ですが、仏教では、人間の究極の幸せとは以下の4つに分けられるそうです。

1.人に愛されること
2.人にほめられること
3.人の役に立つこと
4.人から必要とされること

昨今、日本でも社会起業家が多く活躍しており、上記のNo Companyのデータでも、「ヘラルボニー」や「英治出版」のように、人を応援することをメイン事業とした企業への注目度が非常に高いのです。自分の仕事がダイレクトに誰かの役に立てて、お礼を言われ、褒められ、必要とされるのは、人として嬉しいですよね。特にZ世代は、そのような「想い」や「心」を大切にしている傾向があります。

そのような時代背景からも、貴社の仕事が誰の役に立ち、この仕事をすることでどのようなお礼を言われ、どのように必要としていただけていて、その時自分はどう感じたのか、といった実際のストーリーを研修内でお伝えしましょう。様々な世代の既存社員に登場してもらい、それぞれの飾らないありのままの想いを語ってもらいましょう。そうすることで、新入社員は貴社で今後何年も働き、周りと自分の心を満たしながら仕事をしている姿を想像できるはずです。

華ひらくの新入社員研修

華ひらくでは、「障害児から学ぶコミュニケーション研修」という体験型の研修を行っています。言葉によるコミュニケーションが難しい障害児と会話をし、遊ぶことで、感謝をする心が芽生え、視野が広がり、コミュニケーション力が上がり、やさしい人材を育成することができます。

やさしい人材が増えることで、社内の雰囲気改善や風通しのいいチームへと発展します。ご興味ある方は、お問合せからお気軽にご連絡ください。

⇒障害児から学ぶコミュニケーション研修お問合せ

執筆者紹介内木美樹Miki Uchiki

株式会社華ひらく/非言語コミュニケーション専門家

Truckee Meadows Community College 卒。卒業後はアメリカ・ネバダ州のカジノホテル内の飲食店に就職。非言語コミュニケーションを巧みに使用した接客により、”No. 1 server” とマネージャーから称される。帰国後、2010年に株式会社華ひらくを設立。飲食店インバウンド専門家として、「インバウンド接客 ~英語が話せなくても海外のお客様に接客する方法~」などの非言語コミュニケーションに重きを置いたセミナーを全国で開催。2021年からカラフルモデル(障害のあるキッズモデル)事業を開始。撮影中、障害児との触れ合いの中で大人のコミュニケーション力が飛躍的に向上した事を何度も目の当たりにし、2024年に「障害児から学ぶ非言語コミュニケーション」を企業研修としてリリース。

コラム一覧へ戻る
pagetop